2021年12月5日 説教要旨 関口昌弘氏 (信徒)

最後の預言者ヨハネ

ルカによる福音書 3: 1 – 6

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最期の預言者とは 「律法と預言者はヨハネの時までである。」(ルカ 16: 16、マタイ 11: 13) によります。 預言とは、神さまから預かった言葉を伝えることです。予言(将来を予測すること)とは違います。 そして全ての預言者が指し示すことは、イエスさまを指し示すことです。

ここで洗礼者ヨハネについておさらいをしておきます。

・ ヨハネの誕生(1: 57 -)
母エリザベトは、イエスの母・マリアと仲の良い親類であったようです。二人とも妊娠を知ってともに喜び合ったと書かれています。 そうしてみると、子どもの時のイエスさまとヨハネは、仲の良い友達だったと想像することができます。
近所の人々は、ヨハネの誕生・名前の由来を聞いて、皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。聴いた人々は皆これを心に留め、
「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」、と この子には主の力が及んでいた。

・ ヨハネの風貌(マタイ 3: 4 -)
ヨハネは、らくだの毛衣を着、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜を食べ物としていた。

・ その使命は、 イエスさまを指し示すこと (マタイ 3: 11)
わたしは、悔い改めに導くために、あなたたちに水で洗礼を授けているが、わたしの後から来る方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がせる値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。

・ 洗礼者ヨハネとイエス(7: 18 -)
ヨハネについてイエスさまの言葉。これ以上の褒め言葉ありません。
「預言者以上の者である。」
「およそ女から生まれた者のうち、ヨハネより偉大な者はいない。」

・ 洗礼者ヨハネの死(マタイ 14)
ヘロデの誕生日にヘロディアの娘が、皆の前で踊りをおどり、ヘロデを喜ばせた。それで彼は娘に、「願うものは何でもやろう」と誓って約束した。すると娘は母親に唆されて「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、この場でください」と言った。王は心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、それを与えるように命じ、人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。その首は盆に載せて運ばれ、少女に渡り、少女はそれを母親に持って行った。

・ 預言者ハネのことば(3: 7 -)
洗礼者ヨハネは、洗礼を授けてもらおうとして出てきた群衆に言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。・・・斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。」
預言者ヨハネは、神さまから終末を知らせる言葉を預かっていたと考えられます。

 わたしは、もう何十年も以前に、京都三千院に行ったことがあります。そのとき柱に書かれていた言葉を思い出します。「末の世と思えば今日もその日なりけり」 とありました。なぜか心に残っています。終末とは、遠い先のことを思いますが、思えば、その日その日が終末であると考えて生きよ。と言っているように思います。


 預言者ヨハネは、神の国から現在の社会・世界をどのようい見えているでしょうか?環境破壊・温暖化など、 これは、自然現象だと思っている人もいるかも知れません。
しかし、考えてみてください。これは、人々の営みから起こっていることです。温暖化が進み、水没する国が見えています。例えば、南太平洋の島国ツバルという国。日本も例外ではありません。脱炭素社会とか叫ばれています。世界の自動車をガソリン依存から脱却してEV(電気自動車)に切り替えようとしてもいます。でも簡単なことではありません。 自動車だけでなく飛行機もCO2を排出しています。テレビで、氷河が崩れ落ちる映像が映し出されています。悲しくなり・恐ろしくなります。人類は、限りなく終末に向かって歩みを続けているのではないでしょうか。

・ 「では、わたしたちはどうすればよいのですか?」 (3: 10 -)
預言者ヨハネは、群衆・徴税人・兵士に対して答えます。現在行っている自分の仕事を、忠実に・真面目におこなっていれば良いと言われます。また、貧しい者・手助けを必要とする者に愛を向けよと言います。群衆に、「下着を二枚持っている者は、一枚も持っていない者に分けてやれ。食べ物を持っている者も同じようにせよ。」徴税人に、「規定以上のものは取り立てるな」兵士に、「だれからも金をゆすり取ったり、だまし取ったりするな。自分の給料で満足せよ」

現在の私たちに対しても、特別な行動を要求するのでなく、日常の中で焦ったり、いらだったりすることなく、心静かに祈りをもって、み言葉に聞き従え、と言っているように思います。いつ、いかなる時も、終末の時も、「隣人を愛せよ」 と聞こえます。