ピンチはチャンス
ルカによる福音書 20: 9 – 19
エーゲ海はその日も深いブルーに輝いていました。ある建物の一室に「ルカ編集部」があり、編集長のルカ氏と数人の部員が働いていました。彼らが取り組んでいた重要プロジェクトは、「ユーアンゲリオン」(良い知らせ、福音、福音書)を「敬愛するテオフィロさま」に献呈するというものでした。時あたかも、人類史上最も意味深い事件が起こった紀元30年から50年ほど経った年でありました。実にこの紀元(元号)によって、世界はADとBC(Anno Domini主の年とBefore Christキリスト以前)とに二分されることになったのでした。
さて、当の「ユーアンゲリオン」の編集作業は、ついに佳境に入っていました。主人公イエスという人物の生涯はその最後の週に突入していました。一触即発の状況が、手に取るように分かるエピソードの一つにルカ氏は手を付けたところでした。「テオフィロ」に代表される信徒集団(クリスティアーノイ)は、ユダヤ教主流派から“追放”処分を受け「「(新しい)ほかの人たち」であるとの自己認識を持つようになっていました。-神の“ブドウ園の農夫”として。
今日ここにいる私たちは、この集団の後継なのです。